2012年 01月 21日

新しい年が始まって、どんな年にしたいか考えた。今年の抱負ということではないのだが、昨年に未曾有の災害を経験し、今年はどんな心持ちで過ごすべきなのか。必死に駆け抜けてきた去年と比べて、閉塞感が漂う今は、自分もどこか気持ちがたるんでいるような、逃げているような気さえする。幸せなことだと思う一方、これではいけないと感じる。
年末にNHKで司馬遼太郎の「坂の上の雲」をやっていた。明治維新と文明開化を遂げたばかりの日本が世界の大国と戦って勝利する日露戦争までの「人」を描いている。独自の取材による正確な史実の把握と「司馬史観」と言われる彼の歴史の評価は同感する部分が多い。司馬は生前、この小説を映像化することを許さなかった。彼の真意をきちんと表現することができないと思ったからだろう。でも、今、その時代の日本人を描いたドラマが放映されたことには意味があると感じている。
明治時代の日本の経済や文化は急速な成長を遂げたが、お侍に毛が生えたばかりの軍備しか持たない日本は、当時の世界列強に比べればまだ子供のような存在だった。中国が欧米人の植民地になり、地位の低いアジア人の土地は欧米の帝国主義の下に奪い合いになっていた。勢力を広げるロシアの植民地にもなりかねない状況の中で、絶対に勝てそうにない相手に対して日本人が初めて生死をかけて立ち上がった時のお話だ。あの時立ち上がらなければ、今の日本はまったく違う日本になってたかもしれない時のお話だ。
結論から言えば、日本は奇跡的に勝利し、それは当時の世界に驚きとして報じられ、アジア人が独立の希望を持つきっかけになった。この勝利を日本人がどのように理解してその後を歩んだかは太平洋戦争の結果に現れていると思うが、少なくとも日露戦争に勝利するまでの日本人に邪念はなかったと思う。長い歴史を持つ祖国がなくなるかもしれないという危機に立ち向かわざるを得なかった時代が日本にもあった。
大震災と原発事故。立ち向かいようのない自然の猛威に直面して無力を感じ、おろかな人災に批判を繰り返しても解決の糸口が見えなった昨年。仕事も家も家族もすべて失った人たちが、それでも立ち上がろうとして笑顔する映像を見ていると、人間の力を感じずにはいられない。
困難に直面したとき、不満を言ったり誰かを批判したり、逃げ出したりする。でも、逃げられない現実に直面した時、人は覚悟する。やるしかない。そして、それまでには考えられないような力を発揮する。そんな人に神様が味方しないはずがないのだから。
つらい思いをした昨年から、明るいことに目を向けることも大切だ。報道する立場に身を置いていて、金融危機を繰り返す人間の欲や愚かさ、本来の役割を失ってしまった政治のだらしなさなど、日々がっかりすることは快挙に暇がない。だから、少し心を緩めて楽になることも必要だ。でも、逃げようのない現実は、どこかで立ち向かわない限り変わらない。
一昨年から続けている整体の先生によると、肩を怒らせて生きる欧米人に比べて、日本人は腹で生きているそうだ。肩の力を抜きつつも、丹田に力を溜め込んで、しっかり向き合う「覚悟」の一年にしたいと思っている。



























